トレイルカメラの性能について

トレイルカメラ(自動撮影カメラ)はモデルにより大きく性能も異なります。価格に比例して性能が良くなるとは限りません。下記を参考にしてモデルを選択してください。
自動撮影カメラ仕様比較表を参照しながら参照するとよりわかりやすいと思います。
 
Hyke 2022自動撮影カメラ仕様比較表PDF
 
1.トリガースピード

トリガースピードとはセンサーが動体の熱を感知してからシャッターを切るまでのタイムラグです。一般的にこのタイムラグが短いほうが素早く動く動物を取り逃しなく撮影できると言われています。トリガースピードが最も速いモデルで0.07秒、遅い機種だと2秒かかるモデルもあります。トリガースピードが遅いと動物を感知しシャッターが切れたことにはフレームアウトしているか尻尾しか写っていないことも多々あります。



またSDカード容量によっても若干の差が出ます。デジカメもそうですがSDカードに書き込む際にカメラはまず、SDカードのファイルシステムをチェックします。容量が多いとそのチェックに0.1秒単位の時間が余計にかかってしまうため32GBのSDカードの方が8GB SDカードよりトリガースピードが遅くなるのです。例えば同じカメラでも8GB SD使用時は1.0秒でも32GB使用時は1.2秒になるということです。トリガースピードを上げるために8GBほどのSDカードを使用することが良いのですが、目に見えて成果が変わるわけではないので長期間設置となるとより多く保存できる16GB、32GBを使う場合が多いのが現状だと思いますし、それで良いと思います。
 
2.赤外線センサー範囲

搭載している赤外線センサーもモデルにより様々です。センサー範囲はセンサー部分より最大何mという単位で記載されていますが「範囲」であり、本来は何平方メートルと記載されるべきかもしれません。同じ距離でも動体のサイズにより感知できるかできないかも変わります。センサー範囲最大20mという仕様でもクマであれば感知するかもしれませんがイタチは感知しないでしょう。またセンサー範囲が最大20mという記載があってもそれはカメラの正面の値であり、正面から少し角度が付いた場合、その距離は極端に短くなりますので注意が必要です。

気温によって「センサー感度」の調整も必要です。赤外線パッシブセンサーは外気と対象物の温度差(放出赤外線)によって検知するセンサーです。冬場は外気が0℃で対象の動物は36℃とすると差は36度もあるためセンサーは検知しやすい環境です。しかし夏場は外気が35℃、対象動物の体温が36℃で温度差が1度となるため検知しずらくなります。この温度差が10度以内になった時にはセンサー感度を「高」に上げる必要があります。つまり気温が25℃を超える時期はセンサー感度を「高」に、それ以外の季節は「中」または「低」で調整すると良いです。

下記の表は気温31℃の環境でハイクカム SP2を使って、各センサー感度設定でセンサー反応距離をテストした結果です。人物の体温が36℃とすると温度差は 5℃です。
 
センサー感度 センサー反応距離 メーカー仕様(最大) 誤差率(真値比)
10.2m 25m 41%
12.2m 25m 49%
15.0m 25m 60%
仕様値と比較するとこの環境(温度差5℃)では最大でも60%の距離しか反応できないということになります。仕様上の数値はあくまで最大値なので外気温が低い時期での距離をお考えください。

逆に直射日光を浴びて熱を持ち、風で揺れた葉や枝にセンサーが反応してしまう「空撃ち」が多発する場合はセンサー感度を下げてみてください。小さい葉や枝に反応せずに大きい哺乳類のみ感知するよう調整が必要です。それでも空撃ちが解消されない場合は、センサー範囲内の葉や枝を取り除くか、カメラの向きを調整してください。

トレイルカメラの赤外線センサーはセンサー部から一切赤外線を照射していません。対象物が発する熱(赤外線)を感知する受動式センサーです。逆に常に赤外線を発する赤外線アクティブセンサーというものも存在しますが、電力消費が激しいため乾電池式のトレイルカメラには採用されておりません。
 
またトレイルカメラのセンサー範囲はほぼすべての機種で水平角度より下向きに40-50°ほどです。カメラを地面に対して垂直に設置した場合センサー部より上部にはセンサーは働きません。従って、カメラを下向きに設置した場合は下図のようにセンサー検知距離が大幅に短くなります。



 
3.リカバリータイム



リカバリータイムはカメラが撮影を終えてから次の撮影準備ができるまでの回復時間です。実際には下記の処理をカメラ側で行っております。
3-1.低下したバッテリー電圧の回復
3-2.フラッシュの回復
3-3..撮影された画像、映像のSDカードへの保存
リカバリータイムもモデルにより大きく異なります。例えばストロボモデルはストロボの回復に長く時間を要するため夜間は次の撮影まで15-20秒ほどかかります。また3-3.
.撮影された画像、映像のSDカードへの保存処理を行うことから挿入したSDカードのClassが高いほどリカバリータイムも早くなるモデルもあります。これからSDカードを購入する場合にはClass10をお勧めします。
 
4.フラッシュ照射距離

各自動撮影カメラに内蔵されているフラッシュ(赤外線、白色LED、ストロボ)の照射距離もモデルにより大きく異なります。仕様で照射距離は何mと記載されます。赤外線フラッシュモデルではノーグローよりローグローのほうが明るく撮影できます。ストロボモデルは強力な光を放つためより明るく撮影できます。しかしセンサー反応距離と同じく基準がないため、例えば照射距離30mという仕様でも、何色の何サイズの物体がどれくらいの明るさで見えているかの基準は各メーカーでまったく異なります。あくまで仕様上のフラッシュ照射距離は夜間画像および動画の明るさの目安としてください。なおフラッシュ照射距離が長いのはフラッシュを照射するパワーが強い場合と同じパワーでもホワイトバランスを調整し全体的に明るい画像を記録する場合もあります。よくファームウェアアップデートで明るく撮れるようになることがありますが、それはメーカーが新ファームウェアでホワイトバランスを調整したということになります。
赤外線で最も照射距離が長いモデルはBrowning ストライクプロXです。
 
 
5.被写体ブレについて

赤外線モデルの自動撮影カメラで夜間、素早く動く動物を撮影した場合、被写体が何の動物かわからないことがあります。これは赤外線照射では撮像素子に当たる光の量が少なく、長くシャッターを開くためシャッタースピードが遅くなることが原因です。逆にストロボモデルは強力な光で辺り一面を照射するため撮像素子に当たる光の量が多く、シャッターを開けている時間が短いためシャッタースピードが速く、被写体ブレを防ぐことができます。
赤外線モデルで被写体ブレが少ない静止画を記録するためには連続撮影をできるだけ多く設定し、複数の画像からより被写体ブレが少ない画像を選択できるようにすることも良いと思います。

赤外線モデルでもローグローモデルはノーグローモデルに比べ、明るく照射できるため被写体ブレも軽減できます。特にBrowning ストライクプロXは夜間照射距離が36mと長く明るいため被写体ブレ軽減モデルとして活躍してくれそうです。
 
6.画素数

各自動撮影カメラの画素数も300万画素〜1200万画素とモデルにより様々です。高画素数=高画質と思われがちですが、画素数はそのカメラで撮影できる一番大きい画像サイズのことです。A3以上で印刷しない限りそれほど大きな違いは実感できません。また自動撮影カメラの多くは仕様上、1000万画素と謳っていても実際のCMOSセンサーは200万画素以下である場合がほとんどで200万画素の画像を1000万画素に改ざんしているだけです。画素数が高くなるとデータ容量も大きくなるためSDカードに保存できる数量も少なくなります。設定により高画素に変更もできますが通常は500万画素設定で十分です。

3000万画素という機種も登場しておりますが、1枚当たりのデータ容量も大きくなりSDカードに保存できる数量も限られますので注意が必要です。
 
7.動画解像度

自動撮影カメラで撮影できる動画も静止画と同じようにサイズを設定することが可能です。
2015年になるとHD(1080×720ピクセル)で撮影できるモデルが普通となり、
ハイクカム SP2ハイクカム SP3、Browning スペックエクストリーム/リーコンエクストリームのようにフルHD(1960×1080ピクセル)で撮影できる機種も登場しています。解像度ばかりを動画画質の指標にしてしまいがちですが、画質に影響する要因は画素数より動画圧縮方式によります。現在ある自動撮影カメラの動画圧縮形式は下記の2通りです。

7-1.
Motion JPEG(モーション ジェイペグ)
それぞれのフレームをJPEG形式で圧縮し連続で表示して動画のように見せる方式でハードウェアの処理能力が低くても圧縮できる。またHD動画は静止画と同じように640×480(VGA)を拡張しているためデータ容量が大きい割に画質が良くない。2014年以前のトレイルカメラはほとんどこれを採用している。

7-2.H.264 
MPEG-4(エムペグフォー)
動画・音声をデジタルデータとして扱うためハードウエアの処理能力が高くなければいけない。データ容量はMotion JPEGと比較してデータ容量も小さい割に画質もはるかにキレイである。ただし最新のDSPチップを搭載している自動撮影カメラのみが対応している。ハイクストアではハイクカム SP2ハイクカム SP3Browningがこれを採用している。
また動画撮影時に録音も可能な機種もあります。野生動物の映像に鳴き声も記録でき、よりリアルな生態データを記録できます。
 
8.動作時間

単3電池でどれくらいの期間、動作するのかについてもモデルにより大きく異なります。仕様上では最大6か月、1年間と記載がありますがこれらはあくまで「待機時間」です。つまり「1枚も撮影しないで待機電力だけでどれくらい持つのか」の目安です。何の参考にもなりません。
ですので新品単3電池12本で静止画であれば2万枚、動画であれば10秒動画が300本というほうが参考になります。しかし夜間撮影時(ナイトモード)はフラッシュを照射しながら撮影するためより電力を消費します。特に動画モードの場合は夜間のほうが昼間より消費電力が4倍近く多くなります。下記動画参照

さらにアルカリ、ニッケル水素充電池は気温により性能も大きく変わり、電池の種類にも左右されます。 特に零下を下回る寒冷地では電池寿命も半減すると言われています。 寒冷地や3か月以上電池交換が困難な場所に設置する場合、リチウム電池を使用してください。リチウム電池は温度変化に強く、アルカリ電池の3倍以上長持ちします。また電圧も高く保たれるため自動撮影カメラの誤作動も起こりにくい特徴があります。リチウム電池は使い捨てにも関わらず単3電池4本で1300円と高価です。しかし電池交換の回数が1/3ほどになりその分、人件費が浮くことを考えると高い買い物ではありません。特にエナジャイザーリチウム電池はオススメです。

また外部バッテリー単1電池バッテリーボックス EX24C-6V単1電池バッテリーコンテナEX72C-6Vは単1電池を24本 or 72本使い、ハイクカムの補助電源装置として非常に有用です。ハイクカムに入る単3電池12本のおよそ15倍-45倍以上、稼働時間を増やすことができるため、長期間設置する現場や電池交換に中々行けない現場に最適です。
特にハイクカム
LT4Gは撮影した画像をメールで送信する通信機能を持っているため他のモデルより電池の消耗が激しい難点がありますが、これを単1電池バッテリーボックス EX24C-6V単1電池バッテリーコンテナEX72C-6Vで補うことができます。
 
9.画角(F.O.V)

最近では100°以上の広角レンズ搭載機種も増えてきました。1回の撮影で広い範囲を撮影できるのは確かに便利です。しかしトレイルカメラの場合、1つを得ると1つを失うことがあります。
では50°のレンズを100°の広角レンズに変更した場合、どのようなことが起こるのか考えてみましょう。

9-1.センサーも広角にしなければいけない。
  100°の広角レンズ>センサーの範囲 となるためセンサーのみ従来の範囲であっては意味がありません。したがって広角センサーに変更するか、センサーの数を増やす必要があります。

9-2.夜間照射の赤外線LEDを増やさなければいけない
  広角レンズは広い範囲を撮影できるため夜間撮影時もLEDで広い範囲を照らさなければ、真暗な画像になります。そのため従来と同じような夜間画像を得るためにはLEDの数を増やす必要があります。同じモデルでBrowning ストライクプロ/ダークプロ
スペックエクストリーム/リーコンエクストリームのようにローグローとノーグローの2タイプがあるトレイルカメラも多くあります。夜間LEDが光る(目に見える)ローグローモデルのほうが明るく遠くまで撮れます。もし両方とも同じくらい明るく遠くまで撮影できるようにする場合、ノーグローの画角を狭くするという手段があります。これにより一見、両方とも同じような夜間画像が撮影できるのです。

つまり、画角を広げるとセンサーの数を増やし、LEDの数も増やさないと今までと同じ結果を得ることができません。これらをクリアした場合、今度は増やしたパーツ分の消費電力が増えるため、動作時間が短くなります。これもクリアするにはバッテリーの本数を増やすためバッテリーボックス部分を大きくする必要があります。そうなると本体サイズが大きくなります。さらにこれらのため製造コストも高くなります。結果的に
広角レンズを得る=センサー数を増やす+LED増やす+サイズ大きくなる+価格高くなる
ということになります。
トレイルカメラは新モデルが続々リリースされ、日進月歩な製品ではありますが各パーツはLEDのような革新的な物が生まれない限り、大幅に性能が飛躍することはありません。それぞれのバランスが大切だと思います。

 
Hyke 2022自動撮影カメラ仕様比較表PDF
 
10.焦点距離

ほぼすべてのトレイルカメラは単焦点レンズです。モデルによって異なりますが、焦点距離は1m〜∞となり、短距離に焦点調整できる設定はありません。従って近距離を撮影する場合、トレイルカメラ本体のみでは困難です。1m以上距離を離すかレンズ交換する必要があります。2017年7月現在のところレンズを容易に交換できるモデルはありません。

電力など様々なメーターを撮影するために近距離撮影専用モデル ハイクカム LT4GMマクロハイクカム LT4GMマクロを開発しました。カメラから20cmにピントを固定し、各種メーター読みに特化したモデルとなっております。

 
11.ワイヤレス トレイルカメラ (IoT自動撮影カメラ)

通常、トレイルカメラはカメラ本体に設置したSDカードに画像・動画を記録しパソコンや内蔵モニターでデータの再生を行います。つまり、設置してある程度期間を置いてから、もう一度カメラがある現場に戻らないければ「何が写っているか」がわかりませんでした。
昔のフィルムタイプに比べるとデジタルになって現像なしで必要な画像だけを印刷することは非常に画期的で便利です。そしてデジタル化の次の世代が携帯電話の通信網を利用したワイヤレス トレイルカメラと言えます。
 

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ワイヤレス トレイルカメラは自動撮影した画像をリアルタイムにユーザーの元へ送ることができます。
例えば野生動物を捕獲する罠に向けて設置することで罠の通知システム+対象動物の把握が事前にできるようになり、罠の見回りが不要になり、止め差しの準備を整えて現場に向かうことができます。

リアルタイム性が付加されたことで様々な用途で活用することができるようになりました。
活用事例集
 
SMS遠隔操作機能

上の図のようにカメラから静止画・動画を一方的に送信する一方通行ではなく、スマホからSMSによりカメラを操作する双方向通信が可能です。
カメラで使用しているSIMカードにはデータ通信専用(ただしSMS付に限る)であっても各電話番号が付与されております。その電話番号にSMS(ショートメッセージサービス)で決められたコマンドを送信することでカメラの設定変更や任意のタイミングで撮影&送信指令を送ることができます。
 

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ハイクカム専用クラウドストレージサービス ハイクワークスは最もハイクカム LT4G/SP4Gを有効活用できるクラウドサービスです。メール送信とは違い、メールを開いて画像を確認して、保存ではなく、ウェブブラウザでログインし、サムネイルで撮影された画像の一覧を確認できます。ハイクカムの管理、画像の保存はもちろん、設置場所ごとにカメラの設定を変更し、現場毎にフォルダ分けすることもできます。またユーザー間でカメラや画像の共有も可能で、複数の企業で一つのプロジェクトを遂行する場合は非常に便利です。

ハイクワークスについては専用サイトをご参照ください。


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株式会社ハイクは、自社製品 「IoT自動撮影カメラ ハイクカム」及び「AI搭載クラウド ハイクワークス」による無電源監視クラウドソリューションで野生動物調査、鳥獣被害対策、環境調査、防災技術、スマート農業など、ジャンルを問わず様々な業務を「IoT/クラウド/AI」で効率化し、人の目で見ない監視・観察技術を提案します。
また野生動物管理の担い手が不足している現状を解消するため、「狩猟IT化計画」というテーマの元、IoTを使う効率的な狩猟方法と若い担い手を増やすべく新しいハンティングウェアブランド「HUNT&(ハントアンド)」を作り続け発信していきます。

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